6月のコンサートスタイル・オペラに続き、7月は専属指揮者の渡邊一正を迎えたコンサートスタイル・バレエである。曲目はプロコフィエフ作曲バレエ組曲「シンデレラ」の3つの組曲からの抜粋。その前に三善晃の交響詩「連祷富士」と指揮者の独奏によるモーツアルトのピアノ協奏曲第20番という何とも不思議なプログラム。三善は11年前の渡邊の東フィル定期デビュー時も取り上げた曲であるだけに、実に見事に音響やリズムを捌き、自信に満ち溢れた指揮ぶりで豊堯な名演となった。2曲目では編成を10型に落しはしたが、ロマン的な恰幅の良いモーツアルトがふくよかに響いたが、独奏ピアノのテンポが最後まで決まらずに終わってしまったのが残念でだった。佐々木大と下村由梨恵バレエアンサンブル3名による篠原聖一振り付けによるバレエは、大きなオーチャードホールの舞台前面とオケの後方に設けられた特設舞台で演じられたが、派手さはないが確実な踊りで中々雰囲気を出していたのではないだろうか。ただ、視覚勝負のバレエであるだけに、照明などにいま少し工夫の余地はあったのではないかと思わずにはいられない。音楽はさすがに新国バレエの常連となっている渡邊だけに見事なサポートであったし、音楽としてみても十分納得のゆくだけの多彩な表現を備えていた。コンサートピースとしても聞き応え十分な曲であるだけに、小さいながらのバレエがついただけお得という感じで大層楽しめはしたが、それだけに更に場面を増やしてこの曲だけで日頃のバレエ音楽の腕前を見せてもよかったのではないかと思った。
