続 Maxのページ

主にコンサートの感想を書き連ねた備忘録

2009-01-01から1年間の記事一覧

東京フィルの第九(2009年12月21日)

東京フィルの今年の第九は名誉指揮者のオンドレイ・レナルトに中嶋彰子、山下牧子、笛田博昭、甲斐栄次郎、東京オペラシンガーズという実に豪華な顔ぶれを揃えたものであった。当夜は腕慣らしの序曲「コリオラン」からすでに気迫が感じられたが、第九はそれ…

紀尾井シンフォニエッタ東京定期(2009年12月18日)

初来日のスロヴェニアのベテラン指揮者アントン・ナヌートと、KSTとは二度目の共演となるアナ・チェマチェンコのヴァイオリンによるオール・ベートーヴェンプログラム。「プロメテウスの創造物」序曲、バイオリン協奏曲ニ長調、交響曲第5番ハ短調「運命」の…

東響定期(2009年12月6日)

ヤナーチェックのオペラを演奏会形式で継続的に取り上げている東響、今回は日本初演の「ブロウチェク氏の旅行」であった。我が国ではほとんど耳にすることもないこの作品であるが、これが実に魅力的!美しく抒情的な音楽がたくさんちりばめられ、クリスタル…

日本フィル定期(2009年12月5日)

日本にはお馴染みのチェコの指揮者イルジー・ビエロフラーヴェクがブルックナーの第5番(原典版)を振った。第1楽章はパウゼで音楽が途絶えてしまうかのような超スローテンポで始まったが、全体的に明るい音色のあっけらかんとした演奏で、中欧のベテラン指…

藤原歌劇団創75周年記念オペラコンサート(2009年11月23日)

日本におけるイタリアオペラの上演史を75年に渡って支えてきた藤原歌劇団の記念公演が、秋の色を深めた晴天の上野で開催された。その歴史を象徴するように、イタリア・オペラ一色の選曲は、誠にこの歌劇団らしい。公演はこの歌劇団でお馴染みのマエストロ菊…

東京フィル定期(2009年11月22日)

フランスの若手指揮者ルドヴィーク・モルローとオランダのホルン奏者マルティン・ヴァン・メルヴェを迎えた定期演奏会。曲目は「ローマの噴水」、モーツアルトのホルン協奏曲4番変ホ長調、それにドヴォルザークの交響曲7番ニ短調という組み合わせ意図がどう…

二期会「カプリッチョ」(2009年11月20日)

「ヴォツェック」に続いて音楽が先か言葉が先かをテーマにした”音楽による会話劇”を観ることは、あたかも回答を先にもらってしまったかのよう。この全編がほとんどドイツ語の会話による作品は聴く者にとって難物であるのはもちろんであるが、演じ歌う者にと…

新国「ヴォツェック」(2009年11月18日)

精神の疲弊による人間性の崩壊と家族の解体を描いたこの作品を、演出のアンドレアス・クリーゲンブルクは、家庭と外界を箱の中と水溜まりの中、家族と他人を普通の人間とソンビの様な異様な姿の人というように、それぞれ二次元的に描き分けつつストーリーの…

紀尾井シンフォニエッタ東京(2009年11月7日)

このアンサンブルと良好な関係を保っているチェリスト、マリオ・ブルネロの指揮と独奏による充実の演奏会。この日の白眉は何と言っても英国の現代作曲家タヴナー(John Tavener)の『奇蹟のヴェール』だった。この48分にもおよぶチェロ独奏と弦楽の曲は、ギ…

東京フィル定期(2009年11月6日)

チョン・ミョンフンによる7月から続くブラームス・チクルスの一貫の定期演奏会、今回は大曲「ドイツ・レクイエム」である。第1曲のSelig sind...が東京オペラシンガーズの本当に見事なピアニッシモによって奏されて開始された瞬間にこの日の成功は約束され…

「ウェルテル」(2009年11月3日)

実に久し振りにオーチャードホールで大野和士のオペラコンチェルタンテを聴いた。と言っても今回は手兵のリヨン歌劇場管弦楽団とソリストである。主役二人の声量が空間に対して十分でなかったので正にオーケストラがこの日の主役になった。マスネーのニュア…

「声・マノンの肖像」(2009年10月10日)

東京室内歌劇場の9月公演はプーランクのモノオペラ「声」とマスネの名曲「マノン」の後編である「マノンの肖像」。2曲共通の気の利いたシンプルな舞台装置とオペラ界の俊英佐藤正浩率いる室内アンサンブルをバックに、なかなか充実した一夜となった。休憩前…

新国「オテロ」(2009年10月6日)

幕が開くと左右を石の塀で囲まれたヴェネチアの街の縮図のような装置が現れ、運河には実際に水がはられているのには驚いた。遠近法的な処理はなく現実世界のようであるが、縮尺の関係が不自然なので、象徴的なものであることが分かる。プログラムを読むとど…

東京フィル定期(2009年9月27日)

東京フィルの音は、指揮者によって千変万化する。今回はミヒャエル・プレトニョフによってあたかもロシアのオケのように変身した。ラフマニノフの交響詩「死の島」は、甘美なメロディこそないが引き出された強烈な音色は怨念をあらわすかのよう。続くチャイ…

ミラノ・スカラ座「ドン・カルロ」(2009年9月12日)

今回の引越公演で日本で100回目の公演を達成するというお馴染みのスカラ座は、今回「ドン・カルロ」と「アイーダ」という対照的なヴェルディ2本で勝負した。演出も方や豪華絢爛のゼッフィレッリと方や様式美のブラウンシュヴァイクと中々考えられてる。そん…

東京フィル定期(2009年9月11日)

嘗てこのオーケストラの常任指揮者を長年務めて現在の基礎を作った桂冠指揮者の尾高忠明とピアノのプラメナ・マンゴーヴァを迎えて、三善晃の「オーケストラのためのノエシス」、ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番ト短調、それにリヒャルト・シュトラウスの交…

日フィル(2009年9月5日)

首席指揮者に就任したフィンランドの若手ピエタリ・インキネンの就任披露演奏会である。この機会に相応しいショスタコヴィッチの「祝典序曲」が快速調に颯爽と奏でられた後、樫本大進を迎えたシベリウスの協奏曲ニ短調は、実に安定的でにどっしりと地に足を…

ハートフルコンサート2009(2009年8月15日)

毎年8月15日の終戦記念日に、ユネスコ親善大使でもある黒柳徹子の司会によって開催される東フィル恒例のコンサートである。今年は黒柳徹子の同名の自伝的エッセーを原作とした小森明宏作曲の音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」が久しぶりで登場し、バイオリニ…

「あっ!ベートーヴェン。vol.8」(2009年8月13日)

神奈川県立音楽堂開館55周年を記念して、ベートーベンの交響曲全曲を連続3夜で演奏するという試み。対向配置+ネオ・ピリオド奏法の飯森範親と東響は、この日2回の休憩を挟んで1番~4番までを演奏した。編成は山響にならってコンバス4本の小編成、一番に至っ…

大野和士のオペラレクチャーコンサート(2009年8月11日)

毎年この時期、世界のオペラシーンで大活躍のマエストロ大野の御里帰りに時を合わせて行われている恒例のコンサートである。今年のテーマは「嫉妬」。「アドリアーナ・ルクブルール」、「道化師」、「アイーダ」、「ウェルテル」、「オテロ」より嫉妬の場面…

こども音・楽・館2009(2009年8月1日)

今年のテーマは「きみは、音楽が見えるかい?」。おなじみのマエストロ、チョン・ミョンフンを迎えて、子どもたちから事前に募集した「展覧会の絵」を聴いてイメージした絵の数々をプロジェクターで映しながら「展覧会の絵」を演奏するという興味深い試み。…

「シュターツカペレ・ドレスデン:奏でられる楽団史」より

"もう一人、ここで是非とも触れておきたい指揮者は日本人の若杉弘である。若杉のシュタ-ツ・カペレへのデビューは、1981年5月、ドレスデン音楽祭の期間中に行われたコンサートだった。ドビュッシー、シューマン、ベルリオーズの作品を指揮し成功をおさめ、…

TMP定期(2009年7月26日)

沼尻竜典率いるトウキョウ・モーツアルトプレーヤーズの第50回定期演奏会は、「ドン・ジョバンニ」の演奏会形式という豪華版。共演は130余名のオーディションで選ばれた8名の若手精鋭歌手と、栗友会合唱団。TMPは1995年に結成された40名程の三鷹市芸術文化セ…

山響定期(2009年7月24日)

山形駅西口駅前の800人程収容の山形テルサホールで開催された山形交響楽団の定期演奏会。指揮は音楽監督の飯森規親、ゲストはベルリンフィルの首席ビオラ奏者の清水直子。曲目はバルトークのビオラ協奏曲(2003年改訂版)とブルックナーの交響曲第3番ニ短調…

東フィル定期(7月23日)

この楽団のスペシャル・ミュージック・アドヴァイザーのチョン・ミョンフンによるブラームス交響曲チクルスの1回目である。今回は1番と2番が順番に演奏された。じっくり腰を落ち着けたテンポで始まった1番だったが、全体になんとなく散漫で、心が一つに集ま…

若杉さん

日本芸術院会員であり新国立劇場オペラ部門芸術監督の若杉弘さんが亡くなった。74歳!まだ若かった。昨年春は自身でレールを敷いた新国近現代路線である「黒船」・「軍人たち」を自ら指揮し、昨年夏に闘病生活に入ってからは、「ムチェンスクのマクベス夫人…

兵庫県立芸術文化センター「カルメン」(2009年7月17日)

佐渡裕プロデュースの「カルメン」である。兵庫県立芸術文化センター・愛知県文化振興事業団・東京二期会の共同制作によるもので、昨今多くなりはじめたこうしたコラボレーションの結果外来オペラのような法外な料金を出さずに手軽に充実した舞台が楽しめる…

紀尾井シンフォニエッタ東京(2009年7月10日)

二回目の登場になる下野竜也を迎えて、ドヴォルザークの組曲仕様の「伝説」の前半と後半で、ジョリベとモーツアルトのファゴット協奏曲を挟んだ、下野らしいどこまでも凝ったプログラム。ジョリベには、ハープの篠崎史子とピアノの平野一郎が加わった。ファ…

東京フィル定期(2009年7月5日)

6月のコンサートスタイル・オペラに続き、7月は専属指揮者の渡邊一正を迎えたコンサートスタイル・バレエである。曲目はプロコフィエフ作曲バレエ組曲「シンデレラ」の3つの組曲からの抜粋。その前に三善晃の交響詩「連祷富士」と指揮者の独奏によるモーツア…

東京フィル定期(2009年6月28日)

26日に続いて2回目の「椿姫」である。指揮のチョン・ミョンフンを始めとするキャストは変わらず、一日の休息日を挟んでオーチャードホールでの公演である。喉を休めたせいか歌手達ははじめから絶好調。オーチャードホールの奥行きの広い舞台を利用して、演技…