続 Maxのページ

主にコンサートの感想を書き連ねた備忘録

東響定期(2009年12月6日)

ヤナーチェックのオペラを演奏会形式で継続的に取り上げている東響、今回は日本初演の「ブロウチェク氏の旅行」であった。我が国ではほとんど耳にすることもないこの作品であるが、これが実に魅力的!美しく抒情的な音楽がたくさんちりばめられ、クリスタルのような透明な音感と野太い打楽器+金管の響きの対照が実に心を掴む。タイムマシンに乗って未来・過去を旅するかのような二部構成の物語に脈絡的関連性を見出すのは難しがそれぞれは完成されている。内容は深刻なものではなく、史実を扱った2部でさえコミカルな情感が支配する。すでに幾度かこの作曲家のオペラに挑んでいる飯守範親指揮する東響+東響コーラスの演奏は極めて秀でたもので、この作曲家らしい独特の響きを次々に紡ぎ出す。チェコから招かれた主要歌手と日本人キャストも期待を裏切らない見事な出来で、オーケストラとP席の間に設けられた舞台はあたかも歌劇場の舞台のよう。仕掛けはごく簡単な装置と照明とプロジェクションそれに衣装だけではあったが、そこには居酒屋「ヴィカールカ」が、月の世界が、15世紀のプラハが束の間であったが表出した。実は9曲もオペラを作ったというヤナーチェックのオペラ作家としての実力を再認識させてもらった本当にかけがえの無い時間だった。